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解説
七曜会の命(めい)で大阪に赴いた卓也と薫は、関西支部長である三島春樹から、全国各地に散らばる鬼孔の破壊を任ぜられた。横浜ベイブリッジに続く2つめの鬼孔が、関西地区に存在すると知った2人は、霊気の乱れが気になる関西新空港にあたりをつける。しかし、人間界侵略を企てる羅刹王の軍師・魏震華(ウエイ・チェンホア)が、その動向を冷酷に見つめていた!! 妖しの世界のオカルト・ファンタジー第2幕!!
目次
登場人物紹介
序章
第一章 グレムリン
第二章 鬼孔
第三章 闇よりの使者
第四章 天上の迷宮
第五章 鬼遁甲
第六章 丹砂童子
『鬼の風水』における用語の説明
あとがき
抄録
モノレールが羽田(はねだ)空港に着くなり、筒井卓也(つついたくや)は駆けだしていた。
七月の末(すえ)だというのに、裾(すそ)の長い学生服――長(ちよう)ランを着ている。
周囲の旅行客たちは、みな半袖姿(はんそですがた)だ。
奇異(きい)の視線が、卓也にむけられていた。
しかし、本人はそれに頓着(とんじやく)するどころではなかった。
左肩からぶらさげた黒いボストンバッグを押さえながら、混雑のなかを必死に走る。
(やっべぇ……! 飛行機が行っちまう……!)
予定の飛行機が羽田空港を離陸するのは、定刻ではあと十分後。
卓也の陽焼(ひや)けした喉(のど)もとに、汗(あせ)が滲(にじ)んでいた。
短い髪(かみ)も、汗に濡(ぬ)れて額(ひたい)にへばりついている。
その髪は、光線の加減ではやや茶色がかって見えるはずだが、今は水気を含んで黒っぽく光っていた。
焦(あせ)りの色を浮かべた、アーモンド形の目。
いつもは、よく笑う大きめの口。
頬骨(ほおぼね)の高い、目鼻だちのはっきりした顔をしている。
いかにも少年らしい、好感の持てる顔だちである。
身長は、一七三センチ。
ほどほどに筋肉のついた体つきだ。
夏の最中(さなか)に長ランを着て、汗みずくになっていなければ、通りすぎる同年齢の少女たちの熱い視線を集めたかもしれなかった。
卓也は、人の長い列ができたエスカレーターを横目で見ながら、その隣の階段を駆けあがった。
(間(ま)に合(あ)うか……?)
航空各社のチェックインカウンターの並ぶ、広いフロアーに入ったとたん、女性の声でアナウンスが入った。
「日本さくら航空より、出発便(しゆつぱつびん)の最終案内をいたします。日本さくら航空十時十五分発七〇七便で、大阪へご出発のお客さまに申しあげます。当機は、まもなく搭乗(とうじよう)手続きを終了させていただきます……」
日本さくら航空――JSALは、国内の旅客数トップクラスを誇(ほこ)り、国際線でも知名度の高い、国内最大手の航空会社である。
JSALのシンボルである桜(さくら)のマークは、世界じゅうのほとんどの国際空港でお目にかかることができる。
卓也(たくや)が予約しているのは、この日本さくら航空の七〇七便だ。
卓也は、走りながら、ちらっと左腕の時計を見た。
十時八分。
(あと七分……か)
このままでは、本当に大阪行きの便(びん)に間(ま)に合(あ)わないかもしれない。
焦燥感(しようそうかん)で、頭のなかが真っ白になってくる。
卓也は、空(あ)いたチェックインカウンターにむかって、しゃにむに突進した。
子供を三人も連れて、広がって歩く家族連れを追いぬこうとした時だった。
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